Benchmark Space Systems、RescaleのクラウドHPCを利用して、シミュレーション時間を85%以上短縮

エグゼクティブサマリー

Benchmark Space Systems は、大型ロケットで宇宙空間に打ち上げられた衛星を、より有利な軌道に経済的に移動させる独自の推進テクノロジーを開発しています。軌道上で人工衛星の保守、組み立て、製造を行う軌道上サービス(OSAM)と呼ばれる製品の市場は急速に拡大しており、その規模はすでに数十億ドルに達していると試算されています。衛星インフラストラクチャの複雑なエコシステムを維持するためには、大規模な研究開発と膨大なコンピュートリソースを利用するシミュレーションが必要です。Benchmark Space Systemsのエンジニアリングチームは、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)リソースを使用して、CFD(数値流体力学)シミュレーションを実行してから、本番環境で実際に稼働させています。同社は、コンピュート能力が制限されることでボトルネックが発生し納期が遅

れることを避けるため、オンプレミスで運用していたHPCを、パブリッククラウドプロバイダーが提供するインフラストラクチャに移行しました。RescaleのHPCオートメーションプラットフォームを使用してクラウドサービスを管理することで、Benchmarkのエンジニアは、シミュレーション時間を8時間から1時間に短縮でき、製品やビジネスを成長させるための新しい方法に取り組む時間を確保できるようになりました。Benchmark Space Systemsのビジネス開発と戦略部門のエグゼクティブバイスプレジデントであるChris Carella氏は次のように述べています。「Benchmark Space Systemsは、宇宙空間での推進システムソリューションのイノベーターです。当社の昨年の収益成長率は400%を超えており、2021年には5つのマイルストーンミッションの実施を予定しています。過去2年間、資金調達額と成長率の期待値を上回る成長を続けています。」

宇宙空間でモビリティサービスを提供するためには天文学的なコンピュート能力が必要

2017年の設立以来、Benchmark Space Systemsは、民間企業による宇宙空間の利用が進む中で、衛星や宇宙船にサービスを提供しており、宇宙空間のモビリティソリューションとして多くの事業者から信頼されています。小型衛星に対するミッションでは、単純な軌道修正から高機動マヌーバまで、最も費用対効果に優れる推進方法を提供することを目指しています。同社の宇宙空間モビリティ製品は、ハードウェア、ソフトウェア、およびサービスを組み合わせてロケットからのラストワンマイルの軌道投入など、一般的な運用ニーズに応えるサービスを提供しています。Benchmarkは設立以来、急速な発展を続ける競争の激しいこの市場において、新しいソリューションを実用化しながら、毎年100%の成長率を達成してきました。

Benchmarkのエンジニアは、CFD(数値流体力学)を用いて、熱設計や構造設計の多くをモデル化しています。CFDワークロードを、合理的な時間内に実行するために、年間で数十万から数百万のコア時間が必要です。コンピュート能力を活用して結果を生成するまでの時間を短縮するために、エンジニアがモデルを単純化しすぎてしまい、エラーや不正確さを招いてしまうこともあります。Benchmarkの製品設計はミッションクリティカルであるため、エンジニアはテストの整合性を完全に維持しなければなりませんでしたが、同時に極めて短納期で製品を納品することも求められています。Chris Carella氏は次のように述べています。「特に、顧客のいくつものプログラムの初期構成を同時に構築しなければならない場合、コンピュート能力がボトルネックとなり、最高レベルのリードタイムを実現できなくなることが容易に予想されました。」同社は、CFDを実行するハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)リソースをオンデマンドで利用する方法を検討していました。また、バックエンドのHPCリソースの管理と最適化を自動化するソリューションを、チームに提供したいと考えていました。