新日本造機、Rescale のクラウド CAE を用いて人々の生活インフラを支える遠心ポンプ開発の高効率化を実現

Shin Nippon Machinery Case Study

住友重機械工業グループの企業である新日本造機は、発電設備向け蒸 気タービンや、石油精製 / 石油化学設備向け遠心ポンプ(プロセスポ ンプ)といった製品の製造および販売を担うメーカーである。もとも と 1943 年に舶用蒸気タービンとポンプの製造販売をしていた廣造機と して創業し、1973 年に耐酸ポンプメーカーである日本水力工業と合併 したことで、現在のタービンとポンプの 2 本柱による事業体制の基礎 ができた。同社では高性能で高効率なタービンおよび遠心ポンプの開 発を通じて、環境や地域に配慮した社会実現も支援している。

同社では、製品の開発、設計、製造、施工、メンテナンスまでをトー タルで担っている。現在の本社は東京にあり、広島県呉市内には「呉 製作所」と「仁方工場」の 2 カ所の生産拠点を構える。製品は、顧客 の要求仕様ごとに対応する受注生産での対応となる。

呉製作所に勤務する、新日本造機 技術部開発課 枦 隆治氏は、同社で主に遠心ポンプの新製品を 生み出す設計開発に携わる。今回は枦氏に、設 計開発業務における課題や CAE の活用、クラウ ド HPC の利点についてお伺いした。

社内で丁寧に実機検証し、高性能な製品を顧客の下へ

遠心ポンプは、社会のインフラを支える設備における重要部品として の活用が多い。よって、顧客への納品後にトラブルがあれば、人々の 生活や仕事に影響が出るような事態にもつながりかねない。そのため、 新日本造機社内では、全ての開発品の性能を実験にて確認した後に製 品化し、顧客の下に届けている。

同社では、遠心ポンプの開発に、半年~ 1 年ほどかけている。まず遠 心ポンプの要求仕様を決定し、それから設計を進めていき、設計や形 状などがある程度定まってきたタイミングで CAE を用いた構造解析や 流体解析による妥当性検証を一通り行い、問題の洗い出しを実施。検 証と設計への反映が終われば、社内で設計レビューを行う。

それ以降は実験機(試作機)を製作し、それで実験に取り組みながら 設計を精査しつつ、顧客が求める仕様へ仕上げた後に、最終的な製品 版としてリリースする。

実験機による検証を重ねた上で製品化し、顧客に納品するため、顧客 の手に渡った後のトラブルはほとんど発生しないということだ。その 理由としては、「長年、自社が積み上げてきた知識や経験が活かされて いることも存分にある」と枦氏は説明する。

遠心ポンプ開発における CAE 活用の課題

手間を惜しまず慎重に行う遠心ポンプの設計開発においては、品質を 落とすことなく、開発効率を向上させる事でより早く市場に製品を投 入することも課題だ。さらに年々、顧客から求められる要求性能が、 どんどんレベルアップしてきているという。

そこで、枦氏は CAE を活用することで、実機を作る前にバーチャルな 環境で試行錯誤を繰り返しながら開発を行うことで、後戻りによる開 発期間延長の削減や要求性能の実現に取り組んでいる。

枦氏が、業務で最も多く扱うという流体解析は、ポンプ内部の複雑な 流体現象を扱うことから大規模になりがちであり、高精度な計算結果 をスピーディーに得るためには、膨大な計算リソースが必要である。

かつて、15 年前は 1 ケースの解析に丸 1 日を要することもあったという。そのように、当時直面していた計算規模の課題の解決には、HPC (High-performance computing、高性能計算)による並列計算の導入 が必要と考え、情報収集をしていたところ、クラウド HPC プラットフォームを提供する「Rescale 」のことを知ったという。

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