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Rescale、NASAのFUN3D CFDシミュレーションを高速化するとともにNVIDIA GPUによるコスト削減を実現し、米国の次世代航空宇宙イノベーションに貢献

FUN3Dで米国の航空宇宙のイノベーションを切り拓く

FUN3Dは、NASAが開発した高度な数値流体力学(CFD)ツール群であり、さまざまな車両、飛行機やその部品のエンジニアリングや設計試験における流体の流れのモデリングに使用されています。NASA技術移転プログラム(NASA Technology Transfer Program)は、宇宙探査や宇宙開発のためのイノベーションを米国民へに公開し、米国の航空宇宙イノベーションの利益を最大化することを使命としており、FUN3Dなどのアプリケーションを一般に公開しています。FUN3Dは、承認された米国の商用ユーザー、米国市民や永住権取得者を含む承認された米国の個人ユーザー、認可を受けた組織、その他の政府機関が利用できます。クラウド利用に特化したハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)プラットフォームであるRescaleは、NASAと協力し、RescaleのITAR準拠プラットフォームFedRAMPの認可も取得済み)で承認されているユーザーがFUN3Dを安全に実行できるようにしています。

Rescaleの最高執行責任者(COO)であるMatt McKeeは、次のように述べています。z
「米国の商業航空宇宙分野への投資は、最近数十年で最大の増加を見せています。NASAがソフトウェアツールを公開することで、商業的な航空宇宙イノベーション分野における米国のリーダーシップを強力に促進しようとしていることに、非常に興奮しています。NASAが主にクラウドを必要とする利用するユーザーに対してもツールへのアクセスへのを承認の方針を作成した始めたことで、Rescaleのお客様もFUN3Dを利用して設計を高速化できるようになりました。」

宇宙第4次産業革命(スペース4.0)に関連した航空宇宙分野への民間投資や、都市型モビリティーへの商業/政府投資の増加により、航空宇宙分野の研究開発に対する需要が加速しています。FUN3Dのような最先端の計算工学ツールによって、新しいデジタルプロトタイプの設計やシミュレーションを行う公共、あるいは民間部門の科学者、研究者、エンジニアのコミュニティは急速に拡大しています。FUN3Dは他のCFDソルバーでは設定不可能隠れがちな多くのパラメーターを柔軟に制御できます。そのため、パワーユーザーにとってFUN3Dは、高い精度を要求する、複雑かつ大規模なCFDシミュレーション問題の解決に特に適したアプリケーションになっています。たとえば、FUN3Dはロケット、回転翼、宇宙輸送機などのシミュレーション、風洞実験や飛行実験の設計、高揚力や巡航性能、軍事技術の追求、大規模なコンピューター科学やアルゴリズムの研究など、広範に利用されています。

4度目の進化へ突入する宇宙開発分野
出典:Boston Consulting Group、Jeel Tamooh

Source: Boston Consulting Group, Jeel Tamooh

NVIDIA GPUテクノロジープラットフォームでFUN3Dのコストパフォーマンスを
最大化

FUN3Dは強力なCFDシミュレーション用のツール群です。他のソフトウェアアプリケーションにも言えることですが、アプリケーションの目的を達成するためには設計についてトレードオフが必要となります。FUN3Dの場合、メモリーバウンドバインド型のアプリケーションであるため、メインメモリーからプロセッシングユニットへのデータ転送速度にが制限がありされることが、ソフトウェアパフォーマンスの主な制約となります。CPUのみを用いて処理を行う場合、この制約を補うために、大規模シミュレーションのアプリケーション実行に使用するハードウェアクラスタの規模を拡大する方法が用いられます。たとえば、シミュレーションの実行時間を短縮し、実用に耐えうる範囲にするために、多くのノードで数千のCPUコアが使用されることも多くあります。 

FUN3Dチームは、FUN3Dの計算性能を進化させ続けました。同チームはおよそ10年前から、NVIDIA GPUを使って計算速度を効率的に加速するための研究を続けています。NVIDIA社とも協力して、2017年にはNVIDIA CUDAプログラミングモデルを採用し、当時最新だったNVIDIA Tesla V100 GPUを活用して大きなブレイクスルーを実現しました。それ以来、NVIDIAが新しい高度なGPUアーキテクチャーを導入するのに合わせて、FUN3D がGPUを使用する能力を進化させ続けています。

RescaleのHPCエンジニアリングチームには、Rescaleプラットフォームのクラウド環境を長年利用しているNASAの認定ユーザー向けにFUN3DのCPUとGPUのパフォーマンスを最適化することを専門に取り組んでいる技術者が所属しています。最近、RescaleはNVIDIAと協力し、クラウドHPCアプリケーションにおけるGPUの有用性を紹介する取り組みの一貫一環として、NVIDIA GPUで加速されたクラウドインフラストラクチャーでFUN3Dのベンチマークテストを実施しました。上述のベンチマークでは、GPUアクセラレーションを用いたFUN3Dのコストとパフォーマンスが、NASAが認定しているクラウドサービスプロバイダ(CSP)のデータセンター(Amazon Web Services(AWS)および(Microsoft Azure)で提供されている、CPUのみを使用した一般的なインフラストラクチャーオプションと比較してどれほど優れているか検証しました。

NVIDIAのHPC/スーパーコンピューティングセールスおよびビジネス開発担当グローバルVPであるJohn Josephakis氏は、次のように述べています。「GPUによって迅速に処理できるCAEアプリケーションは急速に発達しており、デザインイノベーションのスピードに大きな影響を及ぼしています。Rescaleは、FUN3DのようなCFDシミュレーションソフトウェアを簡単に利用できるようにする深い専門知識を有しており、お客様が最新のNVIDIA GPUハードウェアオプションをクラウドで利用するプロセスを簡略化するように注力しており、NVIDIAとも緊密に連携しています。」

Rescaleのお客様はすでに、NVIDIA GPUを使ったFUN3Dのポテンシャルを感じ始めています。たとえば、ヘリコプターの2倍の速度で3倍の距離を飛行し、二酸化炭素の排出量を 75%、運用コストを60%削減するよう設計された2拠点間の移動用の小型民間航空機を開発しているXTI Aircraft社は、Trifan 600 VTOL機のを開発でのするためのFUN3DシミュレーションでにGPUを積極的に活用しています。 

XTI Aircraft社のツール&プロセス構成マネージャーであるScott Wertel氏は、次のように述べています。「当社は、2拠点間の短距離航空を根本的に変えようとしています。そのため、航空機設計の試行錯誤に要する時間を最小限に抑えるソフトウェアとハードウェアが必要です。Rescaleを利用することで、大規模なITサポート部門を介さず維持せずに、わずか数クリックで幅広いクラウドハードウェアオプションを選んで簡単にFUN3Dを試すことができ、当社のCFDのニーズを満たす、最高の結果を得ることができました。GPUはその価値を向上させ、TriFan 600を迅速に開発させるために今後も貢献してくれまするはずです」

XTI Aircraft社のTriFan 600

The FUN3D ベンチマーク

Rescaleは、2009年の第4回AIAA Drag Predictionワークショップで初めて発表された、NASA Common Research Model(CRM)を使用してベンチマーク解析を実行しました。このモデルには、1,000万のポイント、1,400万の正四面体、89,000個の三角錐、1,500万個の角柱のセルが含まれています。Rescaleはタイムステップを250に設定してベンチマークを実行しました。

1000万のポイントで構成されるCRMメッシュの可視化

FUN3D ソフトウエア

FUN3D version 13.7 ベンチマーク解析で、使用したソフトウエア

クラウドハードウエア

コアタイプは、クラウドパートナーが提供するが作成したCSPインスタンスファミリーを、RescaleがHPC AIワークロード向けに特別に最適化した構成になっています。今回は、NASAが承認しているCSPデータセンターで利用可能な最新GPUをベースにしたGPUアクセラレーションコアタイプと、RescaleのCFDシミュレーションで広く使用されているCPUのみを用いたコアタイプ2種類の計3種類でFUN3Dのベンチマークを実施しました。

ベンチマーク結果

GPUベースのコアタイプであるAquamarine v3でFUN3Dを実行した結果、RescaleのCFDで最も広く使用されているCPUベースのコアタイプであるCatseyeおよびJasperと比較して、非常に優れた結果が得られました。Rescaleのお客様は、シミュレーション用のハードウェアを選択する際、コストとパフォーマンスとのトレードオフを強いられることが多くありました。しかし、今回のFUN3Dのベンチマーク解析では、GPUベースのコアタイプを使用したシミュレーションは、比較対象であるCPUベースのコアタイプよりも高速かつ低コストであることが明らかになりました。具体的には、Aquamarine v3(1ノード)を用いたシミュレーションは、Catseye(10ノード)や Jasper(6ノード)と比して2倍以上高速でした。さらに、Aquamarine v3(1ノード)を用いた場合の総シミュレーションコストは、Catseye(10ノード)を使用した場合の80%、Jasper(6ノード)を使用した場合の70%程度まで削減されました。 

NASAラングレー研究所のシニアリサーチサイエンティストであるEric Nielsen氏は、次のように述べています。「クラウドベースのNVIDIA GPUインフラストラクチャーにおけるFUN3DのパフォーマンスがRescaleによって検証されたことを嬉しく思います。「FUN3Dやクラウドの特殊なコンピューティングハードウェアなど、NASAのアプリケーションにアクセスするユーザーが増えることで、さまざまなアプリケーションを用いた米国の航空宇宙イノベーションが加速することを期待しています。」

今回のベンチマーク解析で得られたシミュレーション時間とコストの詳細は以下の通りです。

持続時間 反復数

まとめ

上述の通り、ベンチマーク解析でパフォーマンスとコスト両面での優位性が示されたことから、サポートされるすべてのFUN3Dシミュレーションについて、NVIDIA GPUベースのクラウドインフラストラクチャを利用することを強く推奨します。また、NVIDIA A100やNVIDIA H100などの新しいNVIDIA GPUがNASA公認のCSPデータセンターを通じてRescaleで利用可能になり、NASAがFUN3Dツールの新しい解析機能に対するGPUサポートを拡張するのに伴って、FUN3D向けのGPUインフラストラクチャーのコストおよびパフォーマンスの両方の進化についても継続的に検証していきます。

Rescaleの最大の特長は、Rescaleのインテリジェントコントロールプレーンを介して、NASAが承認したユーザーが現在利用できるハードウェアから、最適化されコストとパフォーマンスに優れたNASA公認のパブリッククラウドハードウェアを選び出し、FUN3Dを即座に展開できることです。NASAによりFUN3Dを使用することを承認されているエンジニアは、RescaleのFUN3Dソフトウェアのターンキースタックを活用することにより、前例のないコストパフォーマンスで最高のイノベーションを実現できます。ターンキースタックは、クラウドで簡単に利用できるNVIDIA GPUベースの従量課金制ハードウェアで最適化されています。RescaleはFUN3Dに加えて、1,000以上のHPCおよびAIアプリケーションを提供しています。これらはFUN3Dと同様にクラウドで起動し、簡単かつ即座に展開できます。

著者:Kevin Cangemi

Kevin Cangemiは、Rescaleの戦略的パートナーシップ&アライアンスチームの責任者です。また、Rescaleの独立系ソフトウェアベンダー、クラウドサービスプロバイダ、および半導体のパートナーエコシステムにおける戦略的技術および市場参入のためのパートナーシップを管理する役割を担っています。Rescaleに入社する前は、eコマース企業の事業開発、M&A、企業戦略、戦略的財務を担当していました。ダートマス大学のタック・スクール・オブ・ビジネスでMBAを取得しています。

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